読書記録

日付:080607

書名:植治−七代目小川治兵衛

著者:田畑みなお

出版社:京都新聞社

購入理由:

価格:2500

発行日:08・3

著者プロフィ:

頁数:

内容:

内容:
 

庭に関心を持ち始めた当初、遥か外国の洋風ガーデンに憧れ、そこでガーデンデザインの言葉を知り、ガーデンデザイナーの存在を知った。
何人かの事跡を学んだ。
そしてある時、日本のガーデンデザイナーを問われたが、知る名前は小堀遠州のみであった。

数年が過ぎ、やっと日本庭園への関心も芽生え、入門の概説書などを手に取るようになった。
そして植治=小川治兵衛の名前を知り、その作品を見たいと思った。
どんな庭を作ったのか。それはどこにあるのか。
最初の発見は伊東図書館の書棚であった。そこに植治の本が2冊あった。
「植治の庭−小川治兵衛の世界」(尼崎博正 淡交社 1990年 16000円)
「石と水の意匠−植治の造園技法」「尼崎博正 淡交社 1992年 16000円)

どちらも大判の、値段の高い本である。
私なりに熟読し、初めて「無鄰庵」「対龍山荘」「織宝苑」「碧雲荘」などの名前を知った。
名前を知っても簡単に野人の行ける場所ではない。見るのは写真のみである。
そしてその写真のどこにも<田畑みなお>の名前があった。

もう6、7年前になるか。
当時伊東市内のまちづくり関係団体をまとめようとする動きがあり、伊豆ガーデニングクラブもその中にあったが中心となっていたのが「まち懇伊東」(現在「NPOまちこん伊東」)であり、その事務局長が田畑みなお氏であった。
あれ、これがあの写真を撮った田畑さんか、と調べてみるとどうやらそうらしい。
あんな素晴らしい写真を撮る人がこんな雑用をしていていいものか、と半ば憤慨して見ていたのだが、彼は相変わらず地味にその仕事を今に続けている。

私はせめて尊敬の気持ちを表わすために、伊豆ガーデニングクラブの月例会の講師をお願いした。
演題は「庭の写真の撮り方」。
しかし当代きっての庭の写真家と、素人の庭好きの集まりと意識が合うはずがない。田畑さんも何を話したらいいのか判らない風であった。
唯一覚えているのは撮影の前の庭の掃除のことである。

さて、このほど「植治−七代目小川治兵衛」(写真・田畑みなお 監修・白幡洋三郎 京都通信社 083刊 2500円)が発刊された。
特筆すべきはこの表紙である。
題名に続くのは、「写真・田畑みなお」の文字である。添付写真をご覧あれ。

純写真集ならいざ知らず、1冊の本でまず最初に写真家の名前が出されるのは異例ではないのか。
ことほどさように、この本における田畑みなおの写真の存在感が大きいのである。
彼の写真あってこそこの書が成り立っている。

中身のことはもう言うまい。
この書が2500円で買えるのは奇跡である。
ぜひご購入あれ。

私は重岡建治氏と田畑みなお氏の2人だけが伊東市在住のワールド・クラスのアーチストだと思っている。