勅使河原蒼風3代目にしてかかるおとなしい凡人( ご自分で言われている通りの )が生まれたか、の感慨がある。
家元、家元と自分に言い聞かせる言葉が何度も出てくる。たしかに彼女の存在の大きな部分だろう。家元としてかくあらねばならないと一生懸命な気持ちが伝わる。毎日の生活は家元100%だったのだろう。
しかし祖父蒼風は家元制度打破を掲げて世に打って出た人なのだ。父宏は一応それを意識していたはずである。
茜は<祖父は花のピカソと言われた人>と語って疑いも迷いもない。
茜の母親はどんな人なのだろう? 本書の中には全く出てこない。名前すら出ない。唯一<父も母も仕事をしていましたから・・・>のくだりがあるので、ちゃんとした社会人だったことは判る。
今年50才だそうだ。今後無難に務めて、無難に後に継いでいくのだろう。大器晩成と言われるようになるかもしれないし、それはそれでよし。
草月のために俊才の育成と登用を望む。
われ等の世代にとって、草月は”新しいもの”でなければならないのだ。