はじめに名前あり

(国際栽培植物命名規約)

はじめにネーミング

(国際栽培植物命名規約)
 

はじめに名前あり

事物を正しい名前で呼ぶことが知識と愛情の始まりです。

植物の名前をきちんと園芸品種名で記録しましょう。流通商品名や販売名は「別名」として別記します。
名前はすべて学名(ラテン名)で書くべきだという人もいますが(特に英国系のガーデンデザイン教科書)、ここではそこまではこだわらず和文の園芸品種名で進みます。ただし科属名を確認する習慣をつけましょう。
科属名を知ることで植物の習性を推測出来ますし、きちんとした名前を調べる習慣がつきます。また科属名のついていない苗をうさん臭く思うようになります。

園芸品種名、科属種名、学名は「日本花名鑑」(アボック社 2980円)で殆ど判ります。

 
名札を付けよう 庭の植物に名札を付けましょう。

自分だけしか見ない庭なら必要ないかもしれません。しかし少しでも客を 迎えようという気持ちがあるなら、名札は重要なホスピタリ テイです。そのホスピタリテイからコミュニケーションが生まれます。

美術館に行って、画の名前も作者の名前も書いてなかったら、楽しめますか?
公園で、樹に名札がかけてあったら嬉しいでしょう?
「これくらいは誰でも知っているだろう」は知らぬ間に<驕り>に通じます。度忘れする人も多いのです。

地中越冬の多年草の場合、名札がないと植えてあることを忘れてしまい、知らずに他のものを植えてしまう惧れがあります。

*美術館で作品に名札を付けるかどうかは美学上の論争のテーマの一つだそうです。<付けない派>は名札によって純粋な鑑賞が妨げられると主張するそうです。
PCCガーデンデザインは<付ける派>です。

植物台帳を作ろう 「あの、あそこにある、何とかいう花。あれ何?」では物事は始まりません。
植物の名前、植えた場所、由来(誰からもらったか、どこで幾らで買ったか・・)などを記入した台帳を作りましょう。

植物の名前が判らない場合は名前をブランクにして台帳だけ作ります。よそのお庭やナーセリーでで思いがけず名前が判ることが度々あります。あまりこだわると楽しくなくなります。

ご希望の方には「植物台帳」の様式を送ります。(無料 メール送付) 申込

お庭に名前を付けよう 庭名と、お庭の場所・花壇・コーナーに名前を付けましょう!

漠然と「裏の庭」ではなく、「ハリー・ポッターの秘密基地」とか「山茶花のヤード」とか、具体的な名前にして下さい。家族の誰もがその場所の名前を認識していることが重要です。

ガーデンデザインにはストーリー(物語)やサープライズ(驚き)のあるドラマが必要です。ドラマを産み出すには名前が不可欠です。
 

植物の命名規約

 

 

植物の命名規約なんて、どこかにしっかりしたものがあるような気がします。しかし本屋に行っても図書館に行っても命名規約をきちんと説明してくれる本には行き当たりません。

なぜなら現在有効な「国際栽培植物命名規約」は1995年版なのですが、それを説明した日本語の本はまだないらしいのです。
たまに命名規約に関する本があってもそれは改訂以前の古い版で、かえって惑わされます。それほど旧規約と新規約は変わっています。

私が唯一見付けた文献は「日本花名鑑」に出ている解説記事です。その抜粋をご紹介しておきます。

*ようやく2005年10月、「国際栽培植物命名規約2004」の邦訳が出版されますが、初版の印刷部数が500部で、1部15000円だそうです。
*このように予告されましたが、発行は2007年に延びています。それほど難しいもののようです。0611
*2007年9月、未刊です。
*2008年2月 刊行されました




 

 

国際栽培植物命名規約
 

植物の命名ルール

野生植物と栽培植物に関しては、その命名上のルールを定めた書物があ ります。前者の場合は「国際植物命名規約」であり、後者は「国際栽培植物命名規約」です。

現在効力を有している「国際栽培植物命名規約」は1995年版であり、コンパクトな前版(1980)に比べると、新ルールの追加、前版の条項の見直し、新しい概念の導入など、少なくとも栽培植物を扱う者にとってわきまえておくべき事柄が格段に増えている そうです。

園芸品種名とは

いわゆる園芸品種名(cultivar name)を表記する場合、旧規約で許されていた表記法が新規約では許されなくなったことが最大の変更点です。

すなわち和名や英名などの普通名に続けて園芸品種小名(cultivar epithet)を記すことが出来なくなりました。「ウメ 紅千鳥」あるいは「Japanese apricot 'Beni-chidori'」といった表記のたぐいです。これは新規約にしたがって表記すれば「Prunus mume 'Beni-chidori'」が唯一国際的に認められた表記法となります。なぜなら規約の最大の主眼は、表記法から一切の「曖昧さ」を排除することにあるからで す。受け取り手によって複数の解釈が入りこむ表記法は実効性がないという考え方です。

cv 表記

旧規約ではその園芸品種小名の表記の仕方として、略号として「cv」を用いて園芸品種小名を表記してもよいとされていました。新規約ではこの表記法が認められなくな りまた。
よって現規約における園芸品種小名の唯一の表記法は上記の例でいえば「'Beni-chidori'」しかないことになります。

園芸品種名の表記法は右のいずれかとする

「種を表す学名+園芸品種小名」
 例:Prumus mume 'Beni-chidori'

「交雑種を表す学名+園芸品種小名」
 例:Begonia ×cheimantha 'Di-erna'

「属名+園芸品種小名}
 例:Agopanthus 'Bressingham Blue'

「交雑属名+園芸品種小名}
 例:×Achimenantha 'Inferno'

販売名、商品名

園芸的に改良された植物が流通する場合、園芸品種名がありながら販売上の都合で別の呼称を付与される場合があります。現規約ではそれらを販売名(trade designations)と位置付けており、園芸品種小名であるかのように一重の引用符で括って表記してはならないと定めています。

園芸品種命名の禁止事項

・園芸品種小名にラテン語を用いてはならない
・一つの園芸品種小名は30文字(アルファベット)以内であること
PinkとかYellowなどの形容詞1語のみを園芸品種小名として用いてはならない
・同じ属の中で、同じあるいはごく似た園芸品種小名を用いてはならない
・属名や種名の普通名を園芸品種小名に用いてはならない
・以下の語を園芸品種小名に用いてはならない−cross, hybrid, grex, group, maintenance, mutant, seedling, selection, sport, strain など
・園芸品種特性を誇大に表現したような語を園芸品種小名に用いてはならない

<日本花名鑑@>解説記事より抜粋

レッスンの目次

     花壇の種類
     花壇のプラニング
     ボーダーガーデン
     レイズドベッド
     アイランドベッド
     
ロックガーデン
     花の種類分け
     花を植える方法
     植物の生理
     
用土のこと
     はじめに名前あり 
     (国際栽培植物命名規約)
     デザインの原理と要素
     ゾーニングと動線
     フォーカルポイント
     色彩使用の3つのポイント
     
寸法表

   イングリッシュガーデンの歴史
   
日本庭園の歴史 と分類

 

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