難しい英語


ガーデニングに関するイギリスのサイトを見ていて、判らない英語がたくさんあります。なんとなく感じはつかめてもいざ日本語にするとなると、とたんに難しくなります。

先日イギリスの大学で勉強中という学生(日本人、専門コースではなく学部で本格的に勉強している人です 。照井さんといいます。きっと日本のガーデン界で名を成しますよ。)が伊豆オープンガーデンの見学に訪ねてきたので、案内のお駄賃に英単語の質問をしてこんなご返事を頂戴しました。

∞∞∞∞∞∞照井 さま∞∞∞∞∞∞∞

ガーデンデザインのご勉強中と伺いました。

ガーデンに関する以下の単語を、日本語のガーデン用語としてどのように訳して使っているか教えて頂けませんか。
専門的にはそれなりの訳語が定着しているのではないかと思いますが、私は専門教育を受けていないので知りません。
英語ではなんとなく判ったような感じでも、いざ日本語にするとなると難しいものです。

landscape design, landscaping
Form, Line, Scale
Transition, Proportion, Balance
Coarse, Medium, Fine
primary colors, secondary colors, tertiary colors
contrasting colors, complementary colors, split complementary colors
Hue, Tint, Tone
Features, Structures

お手数でしょうが、よろしくお願いします。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 


 

〜〜〜〜照井さんのご返事〜〜〜〜

こちらではLandscapeは名詞として使われることが殆どで、まれに動詞で使われる時は造園術語で緑化するという意味で使われます。

Landcapingというのは私が英国にいる限り聞いたことが無いので、日本で作られた造語になると思います。意味合いは緑化や美化するということでいいと思います。ただし、GardeningとLandscapingでは同じ緑化という意味なんですが、規模がやや異なってきます。

Landscapeは都市部であっても農村部でも湾岸な地域でも、そこで見渡せる風景や景観のことを言います。もし、どこかの地域や特定した場所を示したい場合は、必ずLandascape の前か後ろに言葉がつきます。

例:Landscape architect  = 都市景観
    Rural Landcape      =田園風景
    Suburban Landscape  =住宅街風景 などなど

Landscape自体ではどこの特定な地域もあらわない風景や景観になります。英語では冠詞や不定冠詞などの日本語には無いものがありますので、それがRuralやUrbanといった特定した場所を示すものが着いてきます。  〜scape (scape)という単語自体でもラテン語で風景や景観というものがありますので、英語の中でも造語で以下のような単語はあります。

例: cityscape     =都市の風景
       Seascape     =海景
       Interiorscape =室内風景 などなど

Landscape Designならば普通に景観設計という風に訳していただいてかまわないんですが、Landscapeが造園の専門語なので、景観設計の中には建築物は含まれずに、緑化のための景観設計という意味になります。
最近はビルディングや家屋を除いた建築物も含まれることがおおいです。

建物と建物の間のオープンスペースを公園や緑化などに計画したり設計したりすることが本来の業界に意味でしたが、最近は都市開発といったディベロッパー的な役割をするところも多くなりました。

たとえば、特定の地域だけを設計する場合は

Landscape architecture =建物・街路などの配置を計画設計する景観設計
Rural landscape design =農村部の景観設計

になります。Landcape designは広範囲・広義になることになります。

日本では最近そのまま外来語として、カタカナでランドスケープという風に書かれている出版物が多いです。

長くなりましたが、他の訳は次回のメールにもっと簡潔に送りたいと思っております。

 

 

∞∞∞∞∞∞照井さんの第2信∞∞∞∞∞∞

Form, Line, Scale, Transition, Proportion, Balance Balanceなどはデザイン学理論で使用されている学術用語で、主に「デザインの定義(Principle of Design)」の一部になります。
これらの殆どは日本でもカタカナとして使われ、それぞれの言葉の意味を定義の上で説明されることが殆どです。

Form        =形
Line         =線
Scale        =割合
Transition    =芸術様式の変化、
Proportion    =比率、割合
Balance        =均衡

たとえばShapeやFormは日本語で訳すと形になってしまいますが、定義上では3次元的なものか、2次元的なものと区別されます。

Primary colour, Secondary colour, Tertiary colour, Contrast colour, Complementary colour
は主に色彩用語として使われています。
色はデザイン学の中では「デザインの要素(Elements of Design)」のひとつです。

単独にprimaryだけど訳してしまうと「最初の」とか「初等」や「根本」と言った風に訳すことができます。たとえばイギリスの小学校のことをPrimary Schoolといいます。

しかし、デザイン学ではPrimary colourを普通に訳しても、「最初の色、基本色」としか訳すことができなく、意味がよくわかりません。
学術用語で訳すと、「原色又は三原色」と訳すことができます。三原色とは赤、青、黄の信号色のことです。

Secondary colourは原色の次にくる色のことで、Primary colourを混ぜ合わせてできたものです。Secondaryの意味はもともと2番目とか派生的なとか従属的なと言う意味があります。イギリスの中学校はSecondary colour と言います。
学術用語で訳すと、等和色といい、緑、紫、橙の色のことを、さします。

同じように、Tertiary Colour は原色と等和色で混ぜてできた色のことを言いますが、学術用語では第三次色という呼び方をしたりします。

Contrast Colourは色と色の組み合わせになり、対照色といいます。
たとえば、黄と紫や赤と緑のことです。これらの色の組み合わせがお互いの色を際立たせてくれます。クリスマスカラーではよく赤と緑などがそうです。

Complementary Colourは補色や余色として訳されます。

以上のものが、デザイン学で使用されている言語で、次のCoarse, Medium, Fineの3つが園芸学で使われる言葉です。
主に砂の大きさを表したりする言葉で

Coarse  =粗砂  (粒径が0.2m〜2m)
Medium  =細砂  (0.02m〜0.2m)
Fine      =微砂  (0.002m〜0.02m)

微砂はSilt(シルト)という言葉でも使われますが、英国の園芸学では
Silt  = 粘土 (0.0002m以下)と言う風にも使われています。 

ちなみに2m以上の土を礫といいます。

Hard Landscape と Soft Landscapeはまた次回のメールで説明いたします。

照井 


 
 

 

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