ボーダーガーデンの設計

 

ボーダーガーデンとは、盛り土や塀やフェンスなどで背面が高くなっていて手前が低くて平坦な細長い花壇をいいます。ただ細長いだけの花壇はリボン花壇です。
このような形の花壇を自然風に植え込むのが所謂イングリッシュ・ボーダーガーデンで、イングリッシュガーデンに必須の風景です。

常識的に考えてもそうなりますが、最も背の高い植物をボーダーの後部に、中くらいのものを中心部に、そして小さなものを最前部に配置します。
またボーダーでは花と葉の色彩のコントラストに配慮します。同色系でまとめるのも、強烈な色を競わせるのもあなた次第ですが、花の色だけでなく葉にも色があること、色のほかに質感があることなどを十分に計算して配置します。
この配置の工夫がイングリッシュガーデニングの醍醐味です。
開花時期や紅葉のことも忘れずに。いつ頃、どれくらいの期間咲き続ける花なのか、葉はどんな状態になるのか、経験的な知識が求められます。

この基本の例外はその場所のスター・主役です。スターになる花を決めたら、その周囲にはスターと競争しないようなおとなしい植物を選んで配置します。

ボーダーガーデンは、特に由緒があるとか、貴重な、珍しい、説明を要するような植物を飾る場所でもあります。ここは人がゆっくりと鑑賞しながら、言葉を交わしながら歩みを進める 場所だからです。

もしボーダーの付近にあなたのお好みのガーデンチェアを置いて寛げるようにしてあるなら、その近くにはソフトな香りや、細やかな美しさを感じさせる植物を配したいものです。

英国ではボーダーガーデンのために考え抜いた宿根草を配します。特に後や真ん中辺りは宿根草が主体です。この植栽の選択こそガーデナーの腕の見せ所で、これで認められてガーデンデザイナーと呼ばれるようになります。 英国では1年草の位置付けは非常に低いのです。

英国では花の時期がほぼ年に1回、6月か7月に集中するで、植栽デザインもそれに集中出来ます。
困ったことに(?)日本では花の時期が年2回、あるいはもっと多く長く、1季咲きの宿根草では間が持ちません。それで 1年草を活用して大掛かりに植え替えを行うなどしなければなりません。日本でのボーダーガーデン作りの楽しいところであり、難しいところでもあります。

 

    

      

の表は「 the border garden planner 」(Richard Bird)という本の目次です。

イギリス人がボーダーガーデンの設計にあたってどんなことを考えるのかの参考になるでしょう。
 

ボーダーのプラニング

ボーダーの位置取り

日向、日陰、守られた場所か、むき出しの場所か、何か目立つものがあるか

ボーダーの形

直線、幾何学的、曲線、フォーカルポイント

後景と前景

アイランドベッド、ヘッジ、壁やフェンス、前景

働き易さ

ローメンテナンス、潅水、グランドカバー

ボーダーの植栽

ボーダーの釣合い

奥行き、高さ

植物の配置

主役、リズム、次々と、色彩の構成と変化

葉の色

緑、銅葉やブルー、Pale

形状と質感

形状、低いもの、背の高い、葉の形、幹や葉や花の質感

種類

多年草、球根、グランドカバー、潅木と樹木、山野草

色彩計画

ホワイト・ボーダー

白の性質、白の性格、白の影、白の効用、コントラスト

パープル・ボーダー

パープルの花、パープルの葉、パープルのボーダー

黄色とブルーのボーダー

イエロー、ブルー

ソフトな、ロマンチックな

クール、パステル、昔風の、ロマンチックな

大胆でエキゾチックな

ホットな、暖かい、赤、黄、橙、ホットな葉、ホットなボーダー

ボーダーのシーズン

フレッシュ、光、スペース一杯、鉢を使って、春の仕事

初夏

初夏の色、夏の花壇作り、宿根草、樹木と潅木、初夏の仕事

真夏から晩夏

夏の色、1年草の花壇、宿根草、樹木と潅木、真夏から晩夏の仕事

秋の色、1年草の花壇、宿根草、樹木と潅木、秋の仕事

冬の花、冬の茎、冬のボーダー、冬の仕事

特別な条件のボーダー

日陰

成功の鍵、樹の下で、葉の効果、花壇、日陰のボーダー作り、明るくする

暑く乾燥した場所

乾燥状態、地中海風のボーダー、植物、姿

水辺

植物、水中には、水辺、沼のガーデン、流れに沿ったボーダー

年寄りや身障者に

道具や装備、高くする、香りのボーダー、身近に

特別なテーマを持ったボーダー

植物収集

バラ、その他植物、栽培展示

野生動物

 

ワイルドフラワー

 

香りのする植物

フラグラント・ボーダー

グラス類

 

ボーダーにテーマを与える

 

フラワー・アレンジャーのボーダー

 

野菜

 

ハーブ

 

ボーダーのスタイル

フォーマル

 

コテジガーデン風

 

絨緞模様

 

立体的に

蔓性、壁、ウインドボックス、パーゴラ、アーバー、アーチ

花壇

 

実用上のことで

土壌のことで

敬意をもって扱おう

ボーダーを作る

プラン、場所の確保、輪郭つくり、準備、植栽

ロックガーデンを作る

外観、岩の種類、場所の整備、岩組み、植える、レイズドベッド

ボーダーのメンテ

雑草、枯れそうな草、種子

増えすぎた植物

剪定、分割

 

 

 

 

 

 

レッスンの目次

     花壇の種類
     花壇のプラニング
     ボーダーガーデン
     レイズドベッド
     アイランドベッド
     
ロックガーデン
     花の種類分け
     花を植える方法
     植物の生理
     
用土のこと
     はじめに名前あり 
     (国際栽培植物命名規約)
     デザインの原理と要素
     ゾーニングと動線
     フォーカルポイント
     色彩使用の3つのポイント
     
寸法表

   イングリッシュガーデンの歴史
   
日本庭園の歴史 と分類

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