レイズドベッド(立上げ花壇)の設計


レイズドベッド(Raised Bed
)とは周囲に柵・石などを組んで花壇の地表をグランドレベルよりも高くした花壇です。

レイズドベッドが高齢者や身体障害者に優しいとして、最近流行りのユニバーサルデザイン実践の花形になっています。
しかしレイズドベッドはそればかりのためのものではありません。高くした花壇は視覚的にも美しいし、日照や湿度など植物に適合した生育環境を与えるためにも役立ちます。レイズドベッドはガーデンデザイン上からも有用な手法です。
またユニバーサルデザインの観点からいえば、高さ、園路の舗装・幅、車椅子の近寄り易さなど、工夫すべき点がたくさんあります。

レイズドベッドが与えてくれるもの
1.地面と植物に手を届きやすくすることで、より多くの人にガーデニングを楽しむ機会を増やしてくれます。高齢者には膝や腰の負担を軽減してくれますし、車椅子で乗り入れて植物に触れることが出来ます。
2.庭によっては傾斜、土の厚み、PH、土質、日照、排水などが植物の成長に適さない場合がありますが、レイズドベッドはそういう問題を解決してくれます。
3.舗装したパテイオやバルコニー、屋上などしかない庭にも、本格的な花壇を提供することが出来ます。
4.ある種の植物、這性の植物などには絶好の舞台を与えます。
5.レイズドベッドはそれ自体が装飾的要素として庭の美しさに貢献します。

レイズドベッドを作る場所
1.水の便がよいこと━レイズドベッドの場合、特に水やりが重要です。水栓、ホース、潅水装置などを考慮に入れた配置にしましょう。
2.安全な乗り入れ━園路は十分に広く、車椅子が通ったり道具を運んだり作業をするのに安全なように配慮します。傾斜や段差はゆるやかに。園路の舗装は滑らないよう、躓かないように。ベッドには全方位からアクセス出来ることが望ましい。
3.座る場所の設置━近くに座る場所=ベンチを配置しましょう。ベンチは、デザインとしては控えめで質の良いものがいいです。それが仕事を楽にし、楽しみを増加させます。
4.美しい場所━レイズドベッドが美しく見える場所を選びましょう。出来たら家の中から見える場所がいいですね。
5.優しい場所を━建物や樹木、パーゴラのかげなど、強い日差しや強風などから遮られた優しい場所を選びましょう。辛い、厳しい場所ではレイズドベッドを楽しむことが出来ず、結局は誰も行かない場所になってしまいます。

大きさなど
1.高さに特にきまりはありません。座ったり車椅子に座ったまま植物にさわれる高さがいいと云う人がいます。立ってベッド=花壇に寄りかかって仕事出来るように肘の高さがいいと云う人もいます。低い方が見た目はいいようです。建設のコストも安くつきます。
2.大きさは必ず周囲からあなたの手が届く範囲でなければいけません。裏側にも回れるベッドならそれだけ奥行きを広く出来ます。 レイズドベッドに上っての普段の管理はあり得ません。
3.全体としての大きさはそのベッドの使われ方によります。大きすぎて手入れが行き届かなくて誰も行かないベッドより、小さくても皆に愛されるベッドの方がずっといいです。
4.ニー(膝の)スペース━より動きやすく働きやすくするために、花壇の上部より下部を細くし、足を動かす部分を広くするデザインがあります。この場合、植物の根のためのスペースは減ります。
5.長く立っていられない人のために、ハンドレールの設置や、石積みの上に腰掛けられるように工夫するするのもいいでしょう。

資機材の選定にあたって
1.安定性━安全こそ第一です。<高く積む>ことでそれだけ危険を内包していることを忘れてはなりません。
2.強度━大きなベッドはそれだけ大量の土を支えなければなりません。十分な強度が必要です。
3.耐久性━材料により耐用年数は異なります。また過湿、高温などでダメージが早まる場合もあります。常にチェックが必要です。
4.メンテナンス━材料によっては毎年手入れする必要があります。
5.コスト━材料費と手間代の両方から考えなければなりません。
7.扱い易さ━材料によっては熟練した職人が必要です。
8.表面━色や質感、滑らかさや耐摩耗性など、表面の性質の検討。

 

  

 

 

レッスンの目次

     花壇の種類
     花壇のプラニング
     ボーダーガーデン
     レイズドベッド
     アイランドベッド
     
ロックガーデン
     花の種類分け
     花を植える方法
     植物の生理
     
用土のこと
     はじめに名前あり 
     (国際栽培植物命名規約)
     デザインの原理と要素
     ゾーニングと動線
     フォーカルポイント
     色彩使用の3つのポイント
     
寸法表

   イングリッシュガーデンの歴史
   
日本庭園の歴史 と分類

 

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