連作障害の回避方法 Wikipedeia
- 適切な施肥管理
- 土壌診断等を行い、作物の生育に応じて必要な施肥を行う事で、生理病の発生を抑制することが出来る。
- 有機物の投入
- 土壌病害や害虫は、生体の植物を侵すものがほとんどである。また、土壌中で一定以上の密度にならないと実害が発生しない。
- このため、堆肥を投入したり、イネ科作物やマメ科作物を土中に鋤き込むなど、栽培作物以外の有機物を土壌に投入することで、土壌内の微生物相が多様化し、病虫害の発生を抑制することが可能となる。
- 土壌内の微生物相を多様化させることを目的とする微生物資材が数多く流通しているが、外来的に微生物を投入しても、投入した微生物が土壌内で優先しなかったという報告もあるので、微生物を直接投入するという宣伝の資材については、その効果を慎重に見極める必要がある。また、糖蜜などの微生物を増殖させる成分を含む資材については、一時的な増殖効果は期待できるかもしれないが、安定的に多様な微生物相を維持するためには、他の有機物を含めた継続投入を前提とするものが多い。
- 湛水
- 多くの病原体や害虫は水中で長時間生存できないので、圃場に一定期間水を溜めることにより、病原体や害虫の密度を低下させることが出来る。また、水溶性の塩類や肥料成分も湛水中に溶出するので、塩害の軽減にも効果がある。
- イネは連作障害を受けないという印象があるが、これは 水田が生育期間中は常時湛水状態にあるためであり、 陸稲は連作障害を受けやすい。
- 客土・深耕
- 客土は耕作層の土壌を取り除き、他から新しい土壌を入れること。深耕は耕作層の下層の土壌を耕作層と反転(天地返し)すること、又は耕作層と下層を混和すること。
- 一時的な連作障害の回避には有効であるが、その後の管理によっては再び連作障害を引き起こすことがある。
- 輪作
- いくつかの異なる作物を同一圃場で作り回すこと。ヨーロッパの三圃式農業、日本の田畑輪換等がこれに相当する。
- 全ての原因に対して有効であるが、単一の作物を栽培するのに比べて多くの圃場面積を必要とするほか、作物毎に異なる技術を習得する必要がある。このため、圃場の団地化や、生産組合等による集団栽培などにより、経営効率を高める工夫が求められる。
- また、栽培する物を選ぶときには、近縁の作物を避けるなど注意が必要。例えばトマトの後にピーマンやナス(いずれもナス科)を栽培した場合、共通の土壌病害に侵される可能性が高い。
- 接ぎ木
- 土壌病害はこの方法で随分回避できる。ただし、接ぎ木面から上部は元の植物体なので、雨などで土壌が跳ね上がるとそこから病気に感染する恐れがある。また、土壌病害以外の原因に対しては効果は低い。
- 養液栽培
- 連作障害の原因物質が蓄積することがない、あるいは蓄積しても培地の交換が容易なので、連作障害を回避しやすい。設備をそろえるのにある程度の投資が必要。
- 土壌消毒
- 土壌に燻蒸剤を処理することにより、病原体や害虫を駆除する方法。処理直後は土壌微生物がほぼ全滅しているので、作物の栽培によって病原体や害虫が優先的に増殖し、却って被害が拡大することもある(リサージェンス)ので、前述した有機物の投入などにより、微生物相を回復してから栽培を行うのが望ましい。
- 近年、燻蒸剤処理の代替方法として、プラスチックフィルムを土壌表面に張り、太陽熱により土壌温度を上昇させて物理的に病原体や害虫を駆除する太陽熱消毒法の普及が進んでいる。
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